9年前のこと。「スモールデイリーミュージック」という名前で、ツイッターで小さな日常の音楽を自作して、アップしていた。1月に始めて、3月に震災。それまでも危うかった私の「日常」も大きく揺さぶられた。そんな中でもアップを続けて、今コンサートで弾いている曲も生まれたりした。
私は、ある時から、気軽に発信したり公表したりすることを躊躇うようになった。それにはいろいろな理由があるし、必要なことだったとも思う。
私は人並みに「仕事」に追われて、なんとかそれでも、生活や家のことを一歩一歩打ち立てるのに精一杯だった。つい最近、ものすごく久しぶりにキーボードを買った。Roland Juno-DS。Rolandの古いハードウェア音源JV-1010を鳴らせながら、レイヤーできるメインキーボードが欲しいなとは思っていた。
今のテレワークの中で、それでも少し時間の余裕が持てて、キーボードを買ってみようという少しの気持ちの余裕が持てた。また「スモールデイリーミュージック」をできるかどうかはわからないけれど、生まれた曲を聞いてもらうことも良いことだと思えるようになった。
私は、ともかく「個人的なこと」を織り交ぜないでは文章を書けるたちではない。そういう意味で、Facebookは現実の人間関係が現実以上にかぶさってきて、ある時からつくづく嫌になった。もっと個人から出発する文章を書きたいと思っていた。
SNSは、ソーシャルネットワークなんだから、一つの社会なんだろう。でも、本を含む、今までの全てのメディアがそうであったように、文章や芸術の表現をする場所というのは、ネットワークである前に、「もう一つの宇宙」「もう一つの世界」であったはずだ。
全てが「名刺化」する世界に疲れているが、私はやはり「もう一つの宇宙」「もう一つの世界」であるような、一冊の本であるような場所が良い。
前置きが長くなりました。
「スモールデイリーミュージック2020」、morning dew(朝露)という曲です。