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定家明月記私抄

15 Aug 2020


 『定家明月記私抄』。堀田氏は、戦中にこの本に衝撃的に出会ってから、ときどき読み返している。印象が熟成して、この本は書かれた。読まれる定家のテキストと、読み→書く堀田氏の心情というべきか、が交錯して面白い。


 堀田善衛の文体。かつての日本語の思考はかく展開されるものだったのかの感あり。何が違うかをはっきり言えないのだが、今のinternet-Japaneseと何かが決定的に違う。文体において、思考が展開され、この展開に一種の深みを伴った跳躍がある。


 SNS。この3文字のアルファベットの略称で表されるメディアは、莫大な文字を出現させ、さらに文字以外の写真・動画を容易に流布させた。莫大な何かの出現によって、旧いメディアである本が造り上げてきた「もうひとつの世界」、その深さや広さが見えなくなる。


 ツヴァイク、『人類の星の時間』。片山敏彦の日本語の躍如。


 Note ubiquitousとNote grande。どうしても書き入れる文章の質が違ってくる。