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本を読む · 2024/12/22
## 蛇と神  「主なる神が造られた野の生き物のうちで、へびが最も狡猾であった」『創世記』第三章はこうして始まる。だが、蛇と神がどちらが本当のことを言っていたのか。神は「善悪を知る木からは取って食べてはならない。それを取って食べると、きっと死ぬであろう」と言ったが、蛇は女に「(それを食べても)あなたがたは決して死ぬことはないでしょう」と言っている。ここだけを比べるならば、本当のことを言っていたのは蛇である…
本を読む · 2021/09/05
 これは、「イサクの物語」関連のテーマのための『創世記』のメモである。  「イサクの物語」のテーマは、(今のところ)一言で言うと「世代をまたぐ暴力」というもので、さらにはおおよそ次のものに関連する。 ・「見る」ことの意味 ・「暴力の波紋」の連鎖 ・親と子の関係性  「Seeing is...

本を読む · 2021/07/17
(1)  水の女[1]について、何かをまとめることなどできるのだろうか?  折口信夫の論文「水の女」は、1927年にはじめて世に現れた。折口の文章全般にいえることだが、ほかの彼の文章にもまして、具現化の力というべきか、想像力というべきかが強いのではないかとおもう。...

本を読む · 2021/06/13
愛される人間が、愛する人間の目に映る時には神となる...
本を読む · 2021/06/13
雨が銀の矢のように降り注ぎ 夏の山と森を黒々と沈める 雨に打たれて歩く自分は 息さえもできない こんな自分をも森と雨と共に観るならば 一枚の絵になるのだろう 草枕より After early summer night.
本を読む · 2020/07/12
 哲学者のジャック・デリダは、ある夜夢をみる。  夢の中で年老いた盲者が、自分にのしかかって攻撃してくる。 「無防備な私、私の息子たちに危機が迫る」(ジャック・デリダ『盲者の記憶』p.21)。  ...
本を読む · 2019/06/16
…にも関わらず人物を描けるのは、 人物を建物のように肯定しているからだ。 建物はなぜ肯定されるかというと 自然だからだ。 自然、建物、人間の順番に自然が入ってくる。 母への不安がかすかに感じられるが、 それでも斜を見上げる人物を、 色彩豊かに描けるのは、 自然からの肯定だ。 (ルート・ブリュック、前期作品について)